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遺言書の作成の流れについて解説

遺言書とは

こちらでは遺言書の作成についてご説明いたします。

遺言書という言葉自体は知っていても、どのようなものであるかまでは詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。

遺言書とは、ご自身が亡くなった際に所有していた財産を「誰に」「何を」「どのように」相続させるかを記した法的効力を有する書類であり、遺言書を残すことでご自身が希望する相続を実現することができます。

しかしながら正しい方式に基づいて作成された遺言書でないと無効になってしまうため、遺言書の種類を確認したうえで、ご自身に最適な作成方法を選択することをおすすめいたします。

ご自分が亡くなった後に相続人や近親者、知人等に迷惑がかかることがないよう、お元気なうちに遺言書を作成しておくことも生前対策のひとつです。

遺言書の定義

遺言書とは遺言者の有していた財産を死後に誰に渡すのかを明確にしておく制度です。

遺言書がない場合を考えてみると遺言書の必要性が分かりやすいかもしれません。

遺言書がないと相続人が法定相続割合に従って財産を受け取るのが通常となります。この割合を変更する場合(例えば長男が自宅を相続して二男はお金を相続する)には遺産分割協議書が必要となります。いわゆる「争続」といわれるものは、この遺産分割協議が整わない状況をいいます。つまり、先ほどの例でいうと、二男がお金ではなく自宅が欲しいから遺産分割協議に応じないという状況です。

そこで、遺言書で、「私の自宅は長男に相続させる」といったことを定めておけば、遺産分割協議をしなくても自宅の名義を長男に移すことができます(後に述べる遺留分はここでは考慮していません。)。遺産分割協議をしなくて良いということは兄弟で自宅の所有者は誰にするかについて話し合いをしなくて良いということになります。

このように、遺言者の意思で予め法定相続割合以外の割合で財産を相続させたり、相続人以外の人に財産を渡すことができます。なお、法定相続分と異なる遺産分割を指定した遺言書を残す場合、遺留分の侵害に注意しなければなりません。

 

遺言書と遺言の違い

これまでみてきたように、遺言書とは、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」といった3つ方式に従って作成するものです。では、「遺言書」は何について作成するものかというと、「遺言者が亡くなった時に遺言者が有していた財産を誰にどのように渡すのか」これを定めたのが遺言書です。一方、「遺言」は、財産の分け方というより、遺言する方の最後の想いや意思を伝えるという意味合いになります。つまり、財産の分け方について記載しているのは「遺言書」となります。財産にかかわらない部分については「遺言」という棲み分けが理解しやすのではないでしょうか。

「遺言」は、本人の自由な意思を伝えるものなので要式は問われず自由に作成することが可能です。ただ、その内容に法的拘束力はありません。そのため、「遺言」で「兄弟仲良く暮らしなさい」と書いてあっても、兄弟が不仲になったとしても「遺言」といて何か効力があるわけではあいません。

「遺言書」には、法的効力があります。そして、遺言書の効力が発生するのは遺言者が亡くなってからですので、後から本人に確認することができないため遺言書の内容はある程度統一しておく必要があります。従って、遺言書の作成には厳格な方式が求められることになっています。

 

遺留分とは

遺留分とは、一部の法定相続人に定められている、最低限相続できる遺産の割合のことをいいます。

被相続人は遺言書を残すことによって、誰にどのくらい財産を残すかについて指定をすることができますが、遺留分が侵害されていた場合、遺留分の権利者は遺留分の請求が可能です。

遺留分の権利者とは

遺留分を請求する権利がある人を遺留分の権利者といいます。
遺留分の権利者は以下の法定相続人であり、被相続人の兄弟姉妹に権利はありません。

  • 被相続人の配偶者
  • 子(代襲者を含む)
  • 直系卑属である父・母および祖父母

なお、上記の法定相続人に含まれる場合でも、遺留分の権利が受けられないケースがあります。

(例)被相続人により相続廃除や相続欠格者にされた

遺留分として取り戻せる割合

遺留分として取り戻せる割合は以下のように定められています。

  • 配偶者または子:法定相続分の1/2
  • 両親:法定相続分の1/2(法定相続人に配偶者がいなければ1/3)
  • 兄弟姉妹:遺留請求の権利なし

遺留分の算出方法

たとえば夫婦と子供2人の家族のうち、夫が亡くなり施設に全額寄付するという旨の遺言書が残されていた場合、法定相続人である配偶者の妻と子は遺留分を請求することができます。

夫の遺産が預貯金5,000万円、債務1,000万円の場合の妻と子供の遺留分は以下の通りです。

遺留分の算定の基礎となる財産:5,000万円-1,000万円=4,000万円
妻と子供、3人分の遺留分:4,000万円×1/2(遺留分の割合)=2,000万円
妻の遺留分:2,000万円×1/2(法定相続分)=1,000万円
子供1人分の遺留分:2,000万円×1/2(法定相続分)×1/2(子2名)=500万円

よって妻は1,000万円、子供は500万円が遺留分となり、最低限相続できる権利を持ちます。
遺言書の内容を確認し、この金額を相続できない場合には遺留分が侵害されていることになりますので、遺留分の請求をすることが可能です。

遺言書には3種類ある

遺言書(普通方式)には3つの種類があり、それぞれ特徴と作成方法は異なります。
以下で簡単にご説明いたしますので、ご一緒に確認していきましょう。

いつでも気軽に作成できる「自筆証書遺言」

自筆証書遺言とは、ご自身で全文・日付・氏名を書き、押印するだけで作成できる遺言書です。
財産目録についてはパソコンでの作成や預金通帳のコピーの添付も可能で、費用をかけることなくいつでも気軽に作成できるのが一番のメリットだといえるでしょう。

しかしながらご自身で作成するため、方式の不備による無効や紛失・改ざんといったリスクがあります。

公証人が作成する「公正証書遺言」

公正証書遺言とは、公証役場にてご本人の口述内容をもとに公証人が作成する遺言書です。
方式の不備による無効はもちろんのこと、原本はその場で保管されるため紛失・改ざんのリスクも回避できます。

「公正証書遺言」は、遺言者が公証役場に出向き、口頭にて述べた遺言内容を公証人が筆記し作成する方法です。
公証人とは別に2名以上の証人が必要となり、ご自身でどなたかに依頼して証人を準備することになりますが、費用をお支払いして公証人に適任者を探してもらうこともできます。

ご自身で作成する自筆証書遺言と比べると、証人の準備や費用が必要となり、手間がかかりますが、公証人が作成してくれるため方式の不備などで遺言書が無効になることがありません。

また、原本を公証役場で保管してくれるため、紛失や遺言内容の捏造といったことへの心配がない点も大きなメリットと言えます。

 

遺言内容を秘密にできる「秘密証書遺言」

秘密証書遺言とは遺言内容を秘密にしたい時に適した遺言書であり、自筆証書遺言と同様にご自身で作成します。
公証人と2名以上の証人が必要ですがそれらの方が内容を確認することはなく、保管についても確実です。

しかしながら方式の不備による無効のリスクがあり、実際にはあまり利用されていない遺言方法です。

このように遺言書には3つの種類がありますが、ご自身の意思を実現するために確実な遺言書を残したいのであれば、「公正証書遺言」で作成するのがおすすめです。
ご自身の財産のことで大切なご家族が揉めることがないように、法的な効力を有する遺言書をしっかりと作成しましょう。

遺言書の作成方法

自筆証書遺言で遺言書を作成する際の流れ

自筆証書遺言は、どこでも自由に作成することができます。書く用紙も比較的自由ですが、遺言書という大事な書類を書くわけですから、覚書のような感じでメモや新聞の切れ端等に書くのではなく便箋を用意して作成しましょう。作成途中で字を書き間違えた場合などは訂正方法も厳格な方式に従う必要あるため、書き直しなど必要がないように予め下書きを行って、それを書き写すことをお勧めします。財産が複数ある場合は、財産目録を用意しておくと記載漏れなどのミスを防ぐことにもなります。印鑑は認印でも構いませんが実印での押印を選択する方が多いです。作成後は、紛失や改ざんされないように厳重に保管するか、今は法務局に遺言書保管制度があり、自筆証書遺言書の保管をお願いすることが可能です。この制度を利用すれば、家庭裁判所での検認を省略できるなどのメリットもありますので自筆証書遺言を作成する方にはお勧めします。

公正証書遺言で遺言書を作成する際の流れ

  1. どのような遺言書を書きたいのかをまず考えます。その内容がきまりましたら、最寄りの公証役場に連絡して遺言書作成の依頼をすると、公証人から必要書類などを教えてもらい、その書類をそろえて公証人と打ち合わせを行います。打合せが完了すると、ご自身で事前に依頼した2名以上の証人とともに公証役場を訪問します。
  2. 公証役場での調印当日の流れとしては
  3. ①遺言者が口述した遺言内容を公証人が筆記にて書面にする(公証人の質問に答えながら回答するパターンもあります。)
  4. ②口述内容を本人および証人へ読み上げ、あるいは閲覧にて確認する
  5. ③筆記内容に間違いがなければ、遺言者および2名以上の証人ともに署名・押印を行う
  6. ④公証人が法律に基づいて作成した遺言書である旨を記載、署名・押印を行う 

 

なお、公正証書の作成にあたり、2名以上の証人が必要になりますが、下記に当てはまる方は証人になることはできません。

  • 未成年者
  • 法定相続人(その配偶者および直系血族を含む)
  • 受遺者(その配偶者および直系血族を含む)

証人を依頼できる方が身近にいない際には、相続の専門家に依頼することもできます。
また、公正証書遺言は手話や通訳を介した申述や筆談による作成も可能です。
聴覚や言語機能に障害がある方も安心して作成いただけます。

2名以上の証人の立会いが必要など費用や手間はかかりますが、確実性に優れた遺言方法だといえます。

 

秘密証書遺言で遺言書を作成する際の流れ

 

秘密証書遺言は、文面を公証役場で作成するのではなく自筆証書遺言と同じように自宅などで作成して、作成した遺言書を公証役場に持って行って秘密証書遺言を完成させます。

そのため、まず自分で遺言書の文面を作成します。それから事前に公証役場に秘密証書遺言を作成したい旨の連絡を入れて、当日の必要書類などを聞いて、予約を入れます。当日は、証人2名と一緒に公証役場に行き、公証人と証人の署名・押印を頂き完成という流れになります。

 

まとめ

以上が、遺言書の概要と作成の流れとなります。当プラザは相続手続もサポートしていることからいわゆる「争族」にも良く出会います。そんな時、「これって遺言書があれば何とかなったのにな」と感じることは多々あることです。遺言書があることで助かるのは相続人であるお子様や奥様などです。遺言書の作成を考えているうちにお亡くなりになったり、認知症を発症して遺言書を作れなかったというケースも良くあります。遺言書を作ろうとしても実際に作っていなければ、当然、相続手続は遺言書がなかったものとして進めることになります。遺言書がないと揉める可能性が高い方はひとまず勇気を持って当プラザまでご連絡ください。

また、当プラザには、日々、遺言書の作成に関するご相談が寄せられておりますが、コストのことを考えて、自筆証書遺言をまずお考えの方も多くおられます。しかし、当プラザでは基本的に公正証書遺言での作成をお勧めしております。ご相談にこられるときに自筆証書遺言書を作成してこられる方もおられますが、内容を拝見すると不十分で曖昧な表現で作成されている方がほとんどです。やはり不慣れな方には法的事項を書くのは難しいようです。確かに公正証書遺言で作成すると自筆証書遺言を作成するより費用はかかりますが、遺言書の目的は、遺言者の方が考えたとおりに財産を相続人などに譲り渡すことだと思います。そこでコストを考えて、自筆証書遺言を選択してそれが不十分な内容であったがために、結果的に遺言書の効力に争いがでて、財産を思い通りに渡せないだけでなく家族の縁も完全に切れてしまうといった事態になればそれは大変悲しい出来事です。そのため、どうせ遺言書を作成するならプロが関与した公正証書遺言で作成することをお勧めいたします。

当プラザには、神戸市垂水区・西区・須磨区・明石市にお住まいの方からの遺言書の作成に関するご相談を随時受け付けております。同地域にお住まいの方でしたら、無料での出張相談も対応しております。お気軽にご相談ください。

 

ご相談は当プラザまで

垂水相続遺言相談プラザでは遺言書に関するご質問・ご相談はもちろんのこと、遺言書の文面の提案や必要な書類の収集まで幅広くサポートさせていただいております。

確実な遺言書を残したいとお考えの神戸市垂水区・西区・須磨区の皆様におかれましては、ぜひ垂水相続遺言相談プラザまでお気軽にお問い合わせください。

神戸市垂水区・西区・須磨区の皆様、ならびに神戸市垂水区・西区・須磨区で相続手続きができる事務所をお探しの皆様の相続・遺言書に関するお困りごとを解消できるよう、スタッフ一同、親身になってご対応させていただきます。

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