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遺言書がある相続手続きの流れや必要書類を解説!

相続の手続きにおいて基本的に遺言書の内容が優先されます。今回の記事では遺言書がある場合の相続手続について解説します。
相続が開始されたら一番初めに遺言書の有無を確認しましょう。

 

遺言書の種類によって相続手続は変わる!

遺言書には以下3つの種類があります。

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・秘密証書遺言

それぞれ手続の方法が変わるため、1つずつ解説します。

 

 

自筆証書遺言の手続き

自筆証書遺言を発見した際、家庭裁判所にて検認手続きを行います。
検認手続きは遺言書の内容の改ざんを防ぐために行うものであり、勝手に開封することは法律上禁じられています。万が一検認せず勝手に開封した場合は5万以下の過料が課せられる場合があるため、注意しましょう。
なお、法務局に預けられていた自筆証書遺言については、家庭裁判所での検認手続きは不要となります。

検認手続きが完了したら、遺言書の内容に沿って手続きを進めることになります。

 

 

家庭裁判所での検認の流れ

家庭裁判所での検認の流れは下記の通りです。

  1. 家庭裁判所へ検認の請求を行う
  2. 検認日の連絡が来たら指定された日に家庭裁判所で検認に立ち会う
  3. 遺言の内容や日付の確認を行う
  4. 検認完了後に遺言書が返還される

その後に、遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。

公正証書遺言の手続き

公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人の2名が立会い作成する遺言書です。原本は公証役場に保管されるため、自筆証書遺言とは異なり、検認の手続きは不要となります。遺言書の内容に沿って相続手続きを進めましょう。戸籍の収集などは自筆証書遺言の場合と同じです。

なお、遺言書に記載のない相続財産が見つかった場合には、相続人全員で記載のない財産に関して遺産分割協議を行います。

また、平成元年以降に公正証書遺言が作成された場合は、全国どこの公証役場で作成されたものでもデータで一元管理されているので遺言検索により公正証書遺言の有無を確認できます。遺言検索はどれでも行えるものではなく、相続人や法律上の利害関係を有するものと認められた人が検索できます。

 

秘密証書遺言の手続

秘密証書遺言を発見した際は、自筆証書遺言書を発見した場合と同様に、家庭裁判所で「検認」手続を行う必要があります。

内容としては自筆証書遺言と同じと考えください(法務局で保管されている自筆証書遺言は検認不要です)。

 

遺言書がある相続手続の必要書類

まずは、相続人を書面で確認できるように戸籍を取り寄せて相続人を確定させましょう。

不動産の相続登記を行う場合や金融機関で被相続人名義の口座を解約する場合は、戸籍上の相続人であることを証明する必要がありますので戸籍を収集は必須です。

集める書類は次のものです。

①被相続人の出生から死亡までの戸籍

②被相続人の住民票の除票

③相続人の戸籍謄本

④相続人の印鑑証明書

⑤遺言書

⑥検認済証明書(検認する場合のみ)

⑦執行者の印鑑証明書(執行者がいる場合のみ)

基本的は上記のものが必要になってきます。相続財産に不動産があれば、被相続人が有していた権利証や登記名義上の住所と生前最後の住所地が異なる場合は、住所の移転がつながる住民票若しくは戸籍の附票などが必要となります。

 

遺言書がある相続手続でよくあるケース

遺言書に記載のない財産がある場合

遺言書に記載のない財産がある場合、その財産については遺言者が誰に渡そうとしたのか不明です。そのため、遺言書に記載のない財産については遺言書がない場合と同様に、相続人全員が協議して誰が相続するのかを決めなければなりません。つまり相続人全員の実印を押印した遺産分割協議書を作成することになります。

 

遺言書の内容に納得できない場合

遺言書の内容に納得できない場合、相続人全員の話し合いで遺産分割協議書を別途作成して相続手続を行うことも可能です。ただ、この場合は相続人全員の同意が必要となりますので、一人でも同意しなければ遺言書の内容を覆すことはできません。

ただ、遺言書がある場合、相続人に遺留分があれば遺留分侵害に対して財産を渡すように請求することができます。また、そもそも遺言書自体を無効と主張して裁判することも可能です。特に、自筆証書遺言の場合はどのような状況で遺言書が作成されたのか不明なことが多いため、遺言書自体を無効と主張することがあります。

 

遺言書が複数存在する場合

遺言書が複数ある場合、最新の日付で作成されたものが有効とされます。公正証書遺言のあとに自筆証書遺言を作成したとしても、つまり遺言書の形式に関係なく、最新の日付の遺言書が有効となります。

 

まとめ

遺言書がある場合の相続手続で、大きな違いが出るのは家庭裁判所での「検認」が必要となるか否かです。検認が不要となるのは公正証書遺言若しくは自筆証書遺言で法務局に遺言書を保管をお願いしている場合の2つです。

検認は申し立ててから1~2か月程度の期間が必要で、検認申立に必要な書類の準備に1か月かかるとすると合計3か月程度の期間が必要になります。また、検認は遺言書の有効・無効を判断するものではありません。公正証書は公証人という法律のプロが作成するため、無効になるケースはほとんどない一方で自筆証書遺言の場合は、法律の文章を書いた経験がほぼない方が作成するため、せっかく作った遺言書が無効となることもあります。検認手続きに3か月間を要して、検認が終わって蓋を開けてみると無効な遺言書であったとなると、またゼロからのやり直しとなりかねません。

このようなことを考えると、遺言書の作成は公正証書で行うことをお勧めさせて頂きます。

また遺言執行者がいれば、遺言執行者の権限として、他の相続人の同意なしに相続手続きを進めることができるので遺言執行者を指定しておくとよいでしょう。

遺言執行者は専門家でなく相続人でもなれますし、自筆証書遺言でも指定することが可能です。

このように、遺言書を作成するときは、その遺言の形式や内容によって、そのあとの手続に影響がでます。

せっかく遺言書を作成するのであれば、後々の手続きのことも考えて作成するのがよいでしょう。

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