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遺産の名義変更(金融資産・不動産)を徹底解説!

相続が開始されると、被相続人名義の預貯金や不動産等は相続人が引き継ぐことになります。その際、相続財産の名義(所有者・責任者)は自動的に変更されるわけではなく、被相続人名義から相続人へ名義変更手続きを行う必要があります。今回は遺産を相続する際に必要になる名義変更手続きについて解説します。

 

遺産相続の際に名義変更が必要になるものは?

相続手続きにおける名義変更とは主に「金融資産の名義変更」「不動産の名義変更」のことをいい、金融資産には現金や銀行等の金融機関に預けている預貯金、株式、債権、投資信託などが含まれます。名義変更の手続き方法は金融資産の種類により異なりますので、各契約先に問い合わせてから準備を進めましょう。

 

金融資産の名義変更

まずは金融資産の名義変更について解説します。

金融資産の名義変更を行うには、戸籍による相続人の確定および被相続人の財産調査、相続人全員の参加による遺産分割協議を終わらせておく必要があります。

預貯金の名義変更について

相続が発生したら、被相続人名義の口座がある金融機関に口座名義人が亡くなったことを知らせましょう

金融機関は口座名義人が亡くなったことを知ると、該当の口座を凍結させ、相続人であっても被相続人名義の預貯金から現金を簡単には引き出すことができなくなります。
凍結した口座から預貯金を引き落とすためには、金融機関で名義変更等の手続きを行わなければなりません。
預貯金の名義変更方法については、遺産分割協議書の有無によって提出書類が異なるため、予め確認しておきましょう。

遺産分割協議書がない場合の払戻し

遺産分割協議がまだ開始しておらずとも、当面の生活費の補填や、医療費や葬儀費用等の支払いのために、一部の預貯金を引き出したい場合もあるでしょう。
被相続人の口座から払戻しを行いたい場合には、相続人全員からの合意を得たうえで、原則下記の書類を金融機関に提出します。

  • 金融機関所定の払戻し請求書(相続人全員の署名・実印での押印が必要)
  • 被相続人の預金通帳(紛失していても手続きは可能)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 各相続人の現在の戸籍謄本

※金融機関によって必要書類が異なる場合もあるためご注意ください。

以前は、相続人の一人が葬儀費用等多額の金銭を立て替えていても、相続人全員の合意を得られなかった場合にはすぐには払戻しを受けられないという不都合が生じていました。
そこで、2019年7月に法改正があり、遺産分割前であっても相続人単独で、

相続開始時の預金額 × 3分の1 × 払戻しを希望する相続人の法定相続分

を限度に払戻しを受けることが可能となりました。
ただし、請求できる金額は1金融機関につき150万円までと定められています。

遺産分割協議書がある場合の払戻し

遺産分割協議後、協議の内容に基づいて預貯金の払戻しをする際に金融機関へ提出する書類は下記の通りです。

  • 金融機関所定の払戻し請求書(資産を承諾する人の署名・実印での押印が必要)
  • 遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印での押印が必要)
  • 被相続人の預金通帳(紛失していても手続きは可能)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのもの)
  • 各相続人の現在の戸籍謄本

※金融機関によって必要書類が異なる場合もあるためご注意ください。

口座の名義変更や払戻しのお手続きを進める中でお困りのことがございましたら、ぜひ相続の専門家にご相談ください。

自動車の名義変更について

被相続人名義の自動車を相続財産として取得する場合、必要な手続きとなるのが「名義変更(移転登録)」です。
自動車の名義変更手続きは所有者となる相続人の住所地を管轄する運輸支局、もしくは自動車検査登録事務所にて行います。

なお、自動車を取得した相続人が廃車や売却を検討していたとしても、名義変更を行ってからでないといずれも行うことはできません。

自動車の名義変更手続きに必要な書類

自動車の名義変更手続きですが、自動車を取得した相続人単独はもちろんのこと、複数の相続人と共同で進めることもできます。

必要な書類については相続人単独で行うか複数名で行うかによって異なるため、ご自身の相続にあわせて下記をご参照ください。

相続人単独で名義変更を行う場合

  • 遺産分割協議書
  • 被相続人の戸籍一式
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 対象となる相続人の印鑑登録証明書、委任状
  • 自動車検査証
  • 車庫証明書
  • 自動車税申告書
  • 申請書(OCRシート1号)
  • 手数料納付書(登録印紙500円貼付)

複数の相続人と共同で名義変更を行う場合

  • 被相続人の戸籍一式
  • 相続人全員の戸籍謄本、印鑑登録証明書、委任状
  • 自動車検査証
  • 車庫証明書
  • 自動車税申告書
  • 申請書(OCRシート1号)
  • 手数料納付書(登録印紙500円貼付)

自動車の名義変更は複数名で行うこともできますが、共同で進める相続人が増えれば増えるほど必要書類を集める手間と時間がかかります。

ご自身で自動車の名義変更を進めるのは困難だと思われる際は、専門家に依頼するのもひとつの方法だといえるでしょう。

株式の名義変更について

相続財産の中に株式があり、株式を相続して権利を引き継ぐ場合、その相続人は名義変更の手続きを行う必要があります。

株式の名義変更については、上場株式か非上場株式かによって手続きの方法が異なります

上場株式の名義変更

上場株式を相続した場合には、「証券会社」「株式を発行した株式会社」の両方で、名義変更の手続きを行います。

(1)証券会社での手続き

まず、証券会社での名義変更の手続きが必要です。
証券会社は顧客ごとに取引口座を開設しています。
下記の書類を揃え、証券会社へ提出することにより、取引口座の名義が変更され手続きが完了します。

〔証券会社への提出書類〕

  • 相続人全員の同意書(証券会社所定の用紙)
  • 取引口座の引継ぎ用紙(証券会社所定の用紙)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書

※証券会社によっては必要な書類が異なる場合もあるためご注意ください。

(2)株式会社での手続き

株式を発行した株式会社で株主名簿の名義変更の手続きを行います。
この手続きは(1)の証券会社が代行してくれるのが通常となっています。
株式が信託銀行に預託されていた場合には、「相続人全員の同意書」(名義書換を代行している信託銀行所定の用紙)を提出する必要があります。

非上場株式の名義変更

非上場株式を相続した場合には、「株式を発行している会社」で名義変更の手続きを行います。
会社毎に手続きの方法や必要な書類が異なるため、事前にそれぞれの株式会社へ連絡し、確認しておきましょう。

不動産の名義変更

こちらでは不動産の名義変更手続きについてご説明します。

登記とは権利関係などを公にするために設けられた制度のことをいい、登記の中でも不動産登記は土地や建物の所有者をはっきりさせることを目的としています。

不動産を所有していた被相続人が亡くなると相続が発生し、不動産を相続する際には不動産の名義を亡くなった被相続人から相続人へ変更します。この不動産の名義を被相続人から相続人へと変更する手続きのことを、相続登記といいます。

この相続登記を行う際は相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を完成させておく必要があります。

 

不動産の名義変更の主な手順

不動産の所有者が亡くなると、法務局において相続財産である不動産の名義変更手続き(相続登記)を行うことになります。

  1. 相続人と相続財産の調査、確定
    相続人の確定のため、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本から相続人を調査します。
    同時に相続財産を確定するため、法務局や市町村役場が管理している登記簿謄本についても調査を行い、不動産の存在や名義人等の確認を行います。

  2. 遺産分割協議書を作成する
    相続人全員参加による遺産分割協議を行い、協議で決まった内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員による署名と押印を行い完成させます。
    作成した遺産分割協議書は相続登記の際に法務局に提出するため、大切に保管します。

  3. 不動産の登記申請及び登記識別情報の取得
    相続登記に必要となる書類をそろえ、不動産を管轄する法務局へ登記申請します。相続登記を行った後、登記識別情報(権利証)を取得します。

相続登記の際の必要書類

法定相続人が1人、または法定相続分で相続する場合

  • 被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本
  • 法定相続人全員分の住民票
  • 法定相続人全員分の現在の戸籍謄本
  • 対象となる不動産の固定資産税評価証明書

遺産分割協議で決定した分割方法で相続する場合

  • 遺産分割協議書
  • 被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本
  • 法定相続人全員分の住民票
  • 法定相続人全員分の現在の戸籍謄本
  • 法定相続人全員分の印鑑証明書(遺産分割協議書の作成日後3ヶ月以内に取得)
  • 対象となる不動産の固定資産税評価証明書

相続登記に伴う登録免許税

登録免許税の計算式:不動産の評価額×1000分の4

垂水相続遺言相談プラザでは司法書士の独占業務は、パートナーの司法書士が担当しております。当プラザでは専門家と連携をしてワンストップでお客様のお手伝いをさせていただいております。

 

不動産の名義変更を行わないとどんなリスクがある?

相続登記には相続放棄のような期限が設けられていなかったため、手つかずのまま放置されることが少なくありませんでした。

相続した不動産を名義変更せず亡くなった被相続人名義のままにし、のちに別の相続が発生した際にトラブルとなる事案が多く発生したため、2024年より相続登記は義務化されることが決定いたしました。

相続登記を行わないまま相続が発生したAさんの例

不動産を所有していたAさんのお父様が亡くなり、Aさんがその不動産を相続することになりました。

Aさんは相続した不動産を売却する予定でしたので、相続登記の手続きを行おうとしましたが、相続した不動産名義がお父様のものではなく、約10年前に亡くなったAさんの祖父のものであることが分かりました。

祖父が亡くなった際、不動産を相続したお父様が相続登記を行っていなかったため、Aさんは相続登記に必要以上の時間と労力をかけることとなってしまったのです。

Aさんの祖父が亡くなった際に速やかに相続登記を完了させていれば、今回のようなトラブルにはなりませんでした。

 

まとめ

これまで解説してきたように、遺産の名義変更を行うには遺産の種類によって手続きが異なります。また、同じ遺産でも、例えば金融資産のように、預貯金であっても銀行や信用金などによって対応は異なりますし、株式であれば上場・非上場によって大きく手続きがことなります。

不動産については名義変更を行わずに放置したことから後で面倒なことになるケースが多々あります。放置することで手続きが増えて専門家に依頼する費用も高くなり、場合によっては裁判を行う必要が出てくることもあります。

相続手続は不慣れな方には面倒なことが多く、最初は自分で手続きを進めたけれど途中で挫折される方からも珍しくありません。

当プラザでは、相続手続の専門家として、神戸市垂水区・西区・須磨区・明石市のお住まいの方を対象に相続にサポートを行っております。是非、お気軽にご相談ください。

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