宗教法人の設立って難しい?なぜ難しいと言われるのか解説します

宗教法人の設立は、難しいと言われています。また、単に難しいだけではなく時間もかかります。例えば、株式会社であれば最短1日で作ることも理論上可能ですが、宗教法人の場合は、所轄庁(都道府県知事又は文部科学大臣)の認証が必要(法12条)であり、既に宗教団体としての実績がある団体であったとしても、法人化には最低2~3年はかかると言われています。

宗教法人を設立するためには、宗教団体としての実態があることと、その宗教団体の有する財産を管理運営するためであることが必要となります。つまり、宗教法人を作るためには、これらの要件が前提条件として満たしていることが必要です。これが宗教法人の設立は難しいといわれる所以です。

宗教団体であることが必要

なぜ宗教法人の設立は、難しく、時間もかかるのかというと、宗教法人が簡単に作れてしまうと、ある問題が起きてしまうからなのです。

それは、税金が関係しています。ご存じの方も多いかと思いますが、宗教法人には、税金の優遇措置があります。

もし、営利活動している団体なのに、表向きだけ宗教法人にして税負担を免れることが可能になれば、なんちゃって宗教法人がたくさんできて、国や地方公共団体は、本来、得られるはずだった税収が、減ることになってしまいます。また、他の法人などと比べて税負担の不平等が生じてしまいます。

そのため所轄庁としては、本当に宗教団体として宗教活動している団体なのかを審査する必要があるわけです。その審査は、最低2~3年かけて慎重に行われます。宗教法人の設立に時間がかかる理由は、このようなことからです。

株式会社であれば、通常は会社ができてから実績を積み上げていくわけですが、宗教法人の場合は、まず宗教団体としての実績をつくり、所轄庁に認めてもらわなければ、宗教法人として認証されません。所轄庁に認証されて、更に、法務局で登記をして、ようやく宗教法人になることができるわけです(法15条)。

財産を管理運営するために法人化

上記に加えて、宗教法人を設立するにあたって、忘れてはいけない重要なことがあります。それは、何のために「宗教団体」を「宗教法人」にするのかということです。

個人であろうと、宗教団体であろうと、宗教活動は自由に行うことができます(憲法20条1項)。宗教法人でなければ宗教活動できないということは一切ありません。

とはいえ、宗教団体も、様々な財産を所有しています。その財産を管理運営するために法人格が必要になってきます。

例えば、宗教団体が所有する財産として、礼拝施設があります。お寺の敷地である境内地や、本堂などがある境内建物は、誰の所有にすればよいのでしょうか。団体に参加している全員の名前で登記すれば、例えば相続が発生した場合など、あとあと手続が大変です。他にも、仏具はどうするか、お納め頂いたお布施は誰に属するのか、支出のときの手続はどうするのかなど、複雑な問題がでてきます。

そのため、宗教団体にある財産を適切に管理運営するためには、法人格が必要となります。言い換えると、宗教法人は財産の管理運営のために設立することになります。財産の管理運営のためなので、きちんと財産を管理運営できる能力があるかも審査の対象になってきます。

まとめ

宗教法人を設立するには、まず、活動実績のある宗教団体が、その財産を管理運営するために法人化するという理解が必要になります。
特に、宗教活動を行っている団体なのか、また、その団体は法人格を与えるに相応しい団体といえるかについては、慎重な審査が行われます。

簡単にいうと、「宗教団体だったら普通はこうだよね」といえるかです。
例えば、お寺でいうと、ご本尊様が本堂におられ、ご住職様が教義に基づいて布教活動をしていて、檀信徒の方々がいる。このようなイメージがあるかと思います。
このようなイメージに沿う団体であることを書面にして、所轄庁に「あ、この団体は宗教法人法でいう宗教団体といえるな」と理解してもらうことが重要になります。

この書面にすることは、口でいうのは簡単ですが、実際に作るとなると大変です。規則はどうするか、役員はどのように決めればいいか、どのような役員決議が必要なのか、予算の決め方、財産目録、収支はどうすればいいのかなどです。

田村行政書士事務所では、宗教法人の設立に関するお手伝いをしております。どのようにすればいいかお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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