昨今の終活ブームにより、連日、ワイドショーや週刊誌では終活関連の話題が毎日のように取り上げられています。高齢者の終活に関する関心は高まっていますが、一方で、営利団体が行う終活セミナーや終活フェアに行くと、何か売り付けられるのではないかという不安も付きまといます。
そこでお寺の役割が出てきます。安心できる終活対策に必要な情報は、非営利団体であり、地域コミュニティの中心であるべきお寺が担うべき事柄です。また、檀信徒をはじめとする地域の高齢者のお役に資する行動だといえるでしょう。
寺院で終活を行うことの意義
① 檀信徒との関係維持・強化
寺院主導による終活サポートにより、参加者の方の多くは、主催者であるご住職様に感謝されます。その結果、檀家離れの防止に繋がります。また、新たな地域コミュニティの形成にも寄与し寺院に人が集まるきっかけにもなります。
② 次世代との関係構築とトラブル防止
親が終活対策をしてくれて本当に喜ぶのはその親族の方たちです。いわゆる「争続」を避けるためにも相続対策は必要です。終活の中で、祭祀承継者の方との人間関係を構築することで、葬儀に関するトラブルや、「争続」にお寺が巻き込まれないように防止することも可能となります。
③ 寺院だからこそできる社会貢献
お一人様世帯の増加により、自分のことを見てくれる方を探している方はどんどん増えております。そのような不安を抱える方が集まるコミュニティの場としてお寺が最適です。終活の専門家だけではケアできない部分をお寺が担うことで本当の意味での終活サポートが実現できます。
④ 僧侶だからできる終活対策
一言に「終活」といっても、関与できることは様々あります。法律家が関与する遺言書作成サポート、葬儀社や石材店が関与する死後の備え、思い出作りのための旅行会社、他にも、写真家、ライフプランナー、生前整理業者などたくさんいます。ただ、これらは、どれも手続や業務的なサポートです。
しかし、終活では「心のサポート」も必要です。
例えば、遺言書は、あくまで財産の処分方法についてのものです。残された家族への想いなども、付言事項として書くことはできますが、文面では細かい表現は難しいです。
また、終活に対する漠然とした不安を抱えているけれど、何をどうしたらいいのか分からない方も多くおられます。そこをケアできるのが僧侶の方々です。
さいごに
檀家さんとの日頃の会話の中から、不安に感じていることを読み取り、必要なケア(専門家や業者の紹介)をしていく、また、不安を解消するヒントになるような法話をすることで、物質的な面だけでなく心の終活もサポートすることが可能になります。また、葬儀ののち、遺族の方たちに、亡くなられた方の想いをお伝えすることができます。
そのような役割は、僧侶の方々以外にいないように考えています。共感して頂ける方は、是非、僧侶ならではの終活サポートを始めてみてください。
田村行政書士事務所では、寺院が主体となって行う終活のサポートを行っております。各支部や支所、青年部会、地域の仏教会、個別の寺院などで、寺院向けや檀信徒向けにセミナーも開催しています。ご興味のある方は、お気軽にご相談ください。