墓地納骨堂の許可申請を考える方が最初に理解しておくこと。

墓地等を経営するには都道府県知事の許可が必要となりますが、多くの場合、地方自治法上の指定都市又は中核都市ではその市長が許可権者となっています。
なぜなら、お墓や祭祀に関する宗教的感情や慣習、風土は地域により異なり、また環境衛生の観点も重要となるため、墓地等設置経営許可申請の担当窓口は、各市町村の保健所や環境衛生課が担当するケースが多いです。
このように地域によって、考慮すべきことが異なるため、許可申請に必要な書類も地域によって異なってきます。また、自治体によっては、そもそも新設の墓地は認めないとしているところもあります。
そのため、墓地等設置経営許可申請手続をお考えの方は、事前に管轄の担当窓口に事前相談を行ってください。以下は、許可申請に必要となる手続の一例を述べていきます。

 

1 事前協議

① 事前相談

まず、墓地等を設置するための計画書を作成します。内容としては、申請者の概要、墓地等を設置する目的やその理由、使用予定者、設置場所、設備の内容、規模、資金計画や管理計画などです。事前計画を作成したら、次のような添付書類を揃え、管轄の担当窓口にて事前相談を行います。

添付書類例(一例)

法人の登記事項証明書

宗教法人の規則や規約の写し

責任役員会議事録・総代会議事録

墓地等の位置図・周辺地図

墓地等の土地・建物の登記事項証明書

地積測量図・公図又は地番図

建物平面図・建物図面・納骨壇配置図

建築確認申請に対する確認済証

墓地の区域を明らかにした図面

収支計算書、収入・支出に関する書類

檀信徒名簿・利用希望檀信徒名簿

墓地等管理規則

 

② 標識の設置

計画書に定めた内容については、後日、住民説明会を開催し、近隣住民への説明や同意の取付けが必要となります。
それに先立ち、事前計画の内容について標識を設置し、周辺住民に知らせることが必要になります。標識の設置の有無、内容や期間などは各自治体によって取扱いが異なります。

③ 住民説明会と同意

一定期間、標識を設置したのちに住民説明会を開催します。開催のときは開催の案内文を作成し、近隣住民に配布します。説明会では、事前に作成した計画書に従い、その内容について、近隣住民の方に説明を行います。近隣住民と言っても幅は広く、その範囲については自治体によって異なります。

住民説明会を開催した場合は、その内容を会議録に記録し、参加者名簿や説明会で使用した資料などを準備したうえで、説明会等開催報告書などと一緒に、後日、自治体に提出することになります。

自治体によっては、住民説明会を開催したうえで、近隣住民の同意書が必要となる場合があります。また、同意書の印鑑は認印だけで良い自治体と印鑑証明書付きの実印での同意書が必要になるところもあります。他にも、近隣住民の同意は不要だが、近隣の自治会長の同意が必要とされる自治体や、住民説明会だけ行えば、個別の同意は不要とするところもあるようです。

各自治体によって、取扱いが異なりますが、内容によっては墓地等設置経営許可の申請にとって大きなポイントになる箇所でもあります。

2 許可申請

上記で示した書面等の準備が整ったら、許可申請書を作成し、担当の窓口に提出することになります。許可申請書には、墓地等の名称、所在地、構造や設備の概要、工事の着工予定日及び完了予定日などを記載します。審査機関は各自治体によって異なります。

 

3 完了検査

無事に許可証が交付されましたら、いよいよ工事の着工開始となります。工事が完了したら、工事完成の届け出を行い、完了検査を受けます。検査の結果、問題がなければ完了済証の交付があり、その後、墓地等の経営を開始することになります。

4 まとめ

墓地納骨堂経営許可申請の手続きは上記のとおりですが、「経営」という言葉が入っているように、墓地納骨堂を新しく始めるということは寺院にとって大きな事業を行うことを意味します。手続きがうまくいくことが目標ではなく、墓地納骨堂を設置したあとの運営がうまくいかないと意味がありませんし、納骨されている仏様のためにも途中で頓挫することは許されません。

例えば、管理規定があいまいであったり、管理費などを受け取っていなかったことから満室になった後の納骨堂をどうするかなど、当事務所には多数の相談が寄せられています。そのため、墓地納骨堂をはじめるときは運営後のことを考えて進めることを推奨します。

当事務所では、墓地納骨堂経営許可申請から運営まで幅広くサポートできるノウハウがあります。ご相談ごとがある方はお気軽にご連絡ください。

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