墓地・納骨堂は誰でも経営できるわけではない?墓地・納骨堂の経営主体について解説!

終活ブームの影響で、小売業、金融業、不動産業といった大手の企業が終活ビジネスを展開しています。都心では納骨堂が次々に立てられ、地方の寺院にも納骨堂建設の営業がきているようです。しかし、墓地・納骨堂の経営は誰でもできるわけではありません。この記事では、その中身について見ていきます。

墓地・納骨堂のスタイルの変化

昨今の終活ビジネスの影響もあり、新しい形の墓地や納骨堂が増えてきています。24時間稼働で駅近の近代的な建物で作られた納骨堂や、綺麗に整備された霊園などが人気を博しています。また、埋葬の形にしても、樹木葬や海洋散骨など墓石を建てて埋葬するという従来型から変化してきています。
これは、国民の埋葬に対する意識や社会生活の変化もある一方で、一部の方達による墓地・納骨堂ビジネスで勝ち抜くための様々な工夫の現れでもあると感じています。

墓地納骨堂を経営できるのは限られています

高齢化が進む中、様々な業界から終活ビジネスへの参入が行われ、墓地・納骨堂(以下、「納骨堂等」ともいいます)経営を考える業者も増えています。

しかし、納骨堂等は誰でも経営できるわけではありません。納骨堂等には、永続性、非営利性が求められるため、営利企業を納骨堂等の経営主体として認めることは適当でないと考えられています。この考え方から、納骨堂等の経営主体は、原則として地方公共団体であり、これによりがたい事情があったとしても宗教法人又は公益法人等に限られています(厚生労働省平成12年12月6日生衛発第1764号:「墓地経営・管理の指針等について」)。

そして、納骨堂等を経営しようとするものは、都道府県知事等の許可を受けなければなりません(墓埋法10条)。罰則規定もありますので、許可をとらずに納骨堂等の経営を行っている寺院があれば、速やかに手続していただくことをお勧めします。

納骨堂等の「経営」とありますが、前述したように、株式会社等といった営利団体は、墓地・納骨堂を経営することはできません。非営利性が求められるのに、墓地・納骨堂の「経営」という言葉に違和感を持つ方もおられます。たしかに、「経営」というより「運営」という言葉の方が理解しやすいように思います。

名義貸し

ここで「あれ、私の知っている霊園は石材店(株式会社)が経営しているけど」と思われた方もいるかと思います。また、雑誌などで大手の金融機関が納骨堂ビジネスに参入したという記事を見たことがある方もいるかと思います。
よくあるケースは、どこかの宗教法人が経営主体となり許可をとって、石材店は募集業務のみ、若しくは、霊園の管理を宗教法人から受託されて行っている場合があります。

仮に、石材店が霊園管理だけでなく経営主体としての実態も有しているならば、宗教法人の名義のみが利用される、いわゆる名義貸しが行われている可能性があり、墓地等経営許可取消しの対象になります(墓埋法19条)。

これは、墓地埋葬法が特別に厳しい規定を置いているというわけではありません。許可制をとる以上、許可を受けた事業主と実際に経営を行っている事業主は、本来、一致しているはずです。それが異なるなら、許可が取り消されるのは当然の帰結といえるでしょう。

何をもって、名義貸しといえるかの判断は難しいところですが、宗教法人の名前で経営許可を取りながら、実態は石材店や建築業者などの営利業者が主体となって収益のほとんどをこれら業者側が享受している場合とイメージしてください。

墓地・納骨堂をはじめるなら

前述したように、墓地・納骨堂を経営するためには、都道府県知事の許可を受ける必要があります。都道府県知事の許可といいますが、中核都市以上であれば市長の許可が必要になっています。墓地納骨堂は環境衛生にもかかわる施設であることから条例によって許可の条件が異なってきます。当事務所がある神戸市では、新設の墓地は現在認めておらず、納骨堂の経営許可には隣地の方の同意書(印鑑証明書付)が必要になったします。そのため、納骨堂等の経営をお考えになったら、まずはどのような条件が必要なのかをよく検討してください。
また、檀信徒や近隣住民との関係も重要ですので、どのように進めていくのが良いかは事前に納骨堂等経営許可申請に詳しい行政書士にご相談していただくことを強くお勧めします。

さいごに

墓地・納骨堂は設置したあとも檀信徒との間でトラブルになっているケースがよくあります。当事務所では、納骨堂などの経営申請にとどまらず、管理規則の作成などにもノウハウを有しており、未然にトラブルを防止するために必要な防止策を提供できます。納骨堂の経営許可申請や管理規則などでご相談がある方は、お気軽にご相談ください。

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