宗教法人の代表役員変更登記について変更期限や必要書類などを詳しく解説します

はじめに

  • 宗教法人の代表役員に就任すると、代表役員変更の登記が必要となります。
  • 責任役員の登記は株式会社の場合と異なり登記は不要です。
  • 宗教法人は代表役員のみが登記事項となっています。
  • 登記する内容は、氏名・住所・資格です。退任される元代表役員の退任の登記も必要です。

いつまでに登記しなければならないか

ア 代表役員変更の期間

代表役員を変更した場合、変更後2週間以内に変更登記しなければなりません。2週間以内なので余り時間はありません。予め登記申請するための準備をしておくといいでしょう。

イ 代表役員変更登記の期限が過ぎたら?

代表役員変更後2週間以内に登記をしない場合、十万円以下の過料を処せられる可能性があります。宗教法人という法人の代表者である以上、コンプライアンスは遵守が厳守となります。

また、聖職者がルールを守らなければ、檀信徒からの信頼は失われます。そのような危機意識を持ち、法令順守は徹底しましょう。

申請書の提出先はどこか

必要書類が揃えて、法務局に申請することになりますが、申請する法務局は宗教法人の主たる事務所を管轄する法務局です。

主たる事務所から近い法務局とは限りません。宗教法人の管轄の法務局です。

不動産登記と異なり、宗教法人の登記は本局など大きな法務局で取り扱われることが多いため、事前にどこの法務局かお調べしておくといいでしょう。

管轄の法務局はコチラからお調べ下さい。

申請書の提出に事前予約は不要ですが、提出書類の書き方など相談したい場合は事前予約されることをお勧めします。

自分で申請書を作成するのが難しい場合や、時間がとれない方は司法書士にご依頼ください(登記の申請業務は司法書士の領域で行政書士や税理士などは行えません)。

登記に必要な書類とは

ア 宗教法人変更登記申請書

法務局にどこの宗教法人のどの部分を変更するのかを知らせる必要があります。その申請書を宗教法人変更登記申請書といいます。

申請書の書式と記載例は新潟地方法務局がサイト上にアップしていますのでご参照ください。

新潟地方法務局のサイト

イ 選任手続きを経たことを証する書類

代表役員の選任手続きの方法は各寺院の規則に記載されています。

被包括宗教団体の場合と単立の宗教法人の場合で異なります。被包括宗教法人の場合は、包括団体の承認が必要となるケースがほとんどです。

単立の宗教法人の場合は、責任役員会の互選によるケースが多いかと思います。その他、総代会の議決や総会の議決を要する場合もありますので、ご寺坊の規則をご確認ください。その内容によって、必要書類が異なってきます。

例えば、代表役員は責任役員会で選んで包括団体が任命するのであれば、責任役員会議事録と包括団体の任命書が必要になります。また、責任役員自体が総代会などで選任される旨の規定がある場合は、総代会の議事録が必要になってきます。

このあたりの判断が自分では難しいと判断した場合は、管轄の法務局か、お近くの司法書士にお問合せください。

各手続を経て作成した書類は内部的な書類として保存しておく必要があります。法務局に提出するに書類は、原本をコピーして原本証明を行ったものを提出してください。

原本証明は、コピーした書類に「原本と相違ありません」の文言を記載し、日付、宗教法人の法人名、代表役員の肩書と氏名を記載し法人印を押印するだけです。

ウ 就任承諾書

上記選任手続きを経ると、代表役員になる方の就任承諾も必要になります。代表役員に就任することを承諾したことを書面化して法務局に提出します。この書類を就任承諾書といいます。書式については簡単なもので大丈夫です。

前記に掲げた、新潟地方法務局のサイトにある宗教法人変更登記申請書の中に記載例も載っていますのでご参照ください。

エ 寺院規則

代表役員の選任方法は各寺院の規則にどう定めているかで異なります。そのため規則自体も提出することで、法務局に対して、規則に書いている手続きに従った書類を作成したことを伝える必要があります。

ここも原本(知事の認証文言と知事印入り)は提出できないので、原本証明を行いましょう。

規則を紛失している場合や一部欠けている場合は、管轄の都道府県に規則の再交付申請を行ってください。

オ 印鑑証明書

責任役員議事録等には実印を押印し、その印鑑証明書を添付します。責任役員会議事録は包括団体に提出する場合もあり、その場合は包括団体に届け出をしている印鑑での押印を求められるケースがあります。

どの印鑑が必要かを事前に確認しておく必要があります。

住職登録手続き

宗教法人の代表役員はそのお寺の住職が就任する場合がほとんどです。

包括宗教法人の場合は、住職に就任するためには住職としての登録手続きがあるなど、宗派によって手続きが異なります。宗教法人内部の手続きについては、包括団体にご確認してください。

管轄の都道府県への届け出は忘れずに

宗教法人の代表役員の変更登記が完了したあとは、管轄の都道府県にその旨の届け出ることを忘れずに行ってください。包括団体によっては、完了後の謄本の原本の提出が必要になる場合があります。

代表役員の変更登記が完了したあとは、完了後の謄本をどこに何部必要かを事前に確認しておくと、あとで謄本の取り直しなどの手間が省けます。

最後に

登記には公示機能というものがあります。公示機能とは、代表者が誰であるかを公に示す機能です。つまり代表役員が誰であるかは登記を見ればわかります。そのため、登記簿謄本はあらゆる場面で提出を求められます。

銀行口座の開設、不動産を買う場合や融資を受けるときなどです。登記簿謄本は全国どこの法務局で誰でも閲覧できて写し(謄本)を取ることができます。そのため代表役員の変更登記は必ず行ってください。

一方で、宗教法人の手続きは、各包括団体の宗規やお寺の規則の内容によって変わりますので一律にどうすればいいのか決まっておらず複雑に感じる方が多くおられます。疑問点などありましたら、数少ない宗教法人に詳しい専門家である、田村行政書士事務所までお気軽にご相談ください。

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