ペットのお墓・納骨堂の許可について詳しく解説します。

1 はじめに

信者様からペットの葬儀・お墓に関するご相談も増えているのではないでしょうか。弊所においても、ご住職様からペット葬に関する相談が増えています。また、納骨堂・合祀墓の設置をお考えの寺院の方から、あわせてペットのお墓についても考えたいとのご相談も増えています。
そこで、宗教法人がペット葬をはじめるには、墓地や納骨堂設置の場合と同様に墓地埋葬法に基づく行政の許可が必要なのか、また、注意点等について解説させていただきます。

2  ペットのお墓や納骨堂に設置に関する法律上の規制について

人の遺骨を埋葬する場合、墓地埋葬法という法律により都道府県知事の許可(各条例により市長の許可)が必要とされています。しかし、ペットの遺骨を埋葬することは、「墓地埋葬法」の規制対象外です。また、ペット霊園事業にて取り扱われる動物にしたいは「廃棄物処理法」2条1項に規定する「廃棄物」にも該当しません。このことは、平成16年10月29日の政府答弁で明らかにされています。他の法律においてもペットの埋葬に関して規制する法律は今のところありません。従って、現時点においてペットを寺院内にお墓を設置して埋葬することに関して法律上の規制はないことになります。ただ、今後は法整備される可能性は十分にあります。

3 ペットのお墓や納骨堂に設置に関する条例上の規制について

上記にみたように、ペット霊園事業に関する法律上の規制はありません。しかし、ペット霊園が自由に乱立されると周辺住民とのトラブルになることや、住環境・公衆衛生環境の観点などから地方自治体においてペット霊園に関する規制を条例で定めている自治体があります。条例が制定されている地域においては、ペットのお墓や納骨堂を設置するには各自治体の長の許可が必要となります。

4 ペットのお墓や納骨堂を設置するための許可条件とは

ペット霊園の規制は、法律ではなく各地方自治体による条例で定められています。そのため、全国一律ではなく規制の対応も自治体により異なります。許可条件は、人の遺骨における墓地や納骨堂の許可条件と似ています。

(1)規制手段

各条例によって規制の態様も様々です。届出で足りるところ、市長の許可を取る必要があるところ、許可申請を提出する前に周辺住民への説明会の開催や周辺住民の同意を求められる自治体もあります。

(2)距離制限に関する基準

ペット霊園を設置する場合、周辺の住民環境との調和から、学校、病院といった公共施設や人家等から一定の距離制限を設けている自治体もあります。

(3)立地に関する基準

土地の形状に関する基準です。安定した地盤であることや排水に問題のない土壌 であることなどが問題となります。また、ペットのお墓・納骨堂は、宗教法人が所有する土地上に設置する必要がある場合もあります。

(4)構造物・施設に関する基準

門扉の施錠・保管施設の密閉性、排水溝やごみ処理施設の設置、緑地、他の区画との境界などがあります。

(5)管理基準・その他

管理者の設置・管理基準を定めた管理規則の作成などが必要となります。その他、各自治体により独自規制を定めている場合もありますので、該当地域の条例をよくご確認ください。

5 ペットの火葬についての条例

ペットの埋葬は焼骨になっている状態で納骨という流れになりますが、ペット霊園業者では火葬から請け負うところもあります。その場合は火葬するための焼却施設の設置基準を設けています。防臭・防じん・防音設備が整い、密閉可能な施設であることや焼却温度の最低基準を定めているところもあります。
ペット霊園(納骨)については規制していない自治体でも、火葬施設については事前に許可を必要とする自治体もありますので、火葬施設を設置する場合は、ペットのお墓や納骨堂設置に関する規制のみならず火葬のための焼却施設に関する規制も事前に確認しておく必要があります。

6 ペット霊園は収益事業に該当するか

ペット霊園が収益事業にあたるかについて、平成20年の最高裁判所の判例(最判平成が参考になります。ここでは、ペット霊園であることをもって全てが収益事業になるとはいっていません。人骨に関する納骨堂が収益事業にあたるのかという問題と課税の考え方が似ている部分もあります。つまり、宗教行為に対する喜捨の精神ではなく、宗旨宗派を問わず料金表により料金が定められており、宗教法人という団体が行うペット葬の役務の対価と評価される場合は収益事業にあたる可能性が高いと考えます。
現状において、人骨に対する墓地・納骨堂の設置は、宗教法人は可能ですが、他の株式会社や合同会社などで認められていません。しかし、ペット霊園は株式会社や合同会社などでも設置可能です。そして、課税の対象になります。宗教法人がペット霊園を設置する場合に、実態において株式会社などが設置するペット霊園と差異がなければ課税の対象になりやすいとお考えください。信仰があり喜捨であるからこそ課税しないという話がでてくるわけで宗教法人であれば何でも非課税というわけではありませんのでご注意ください。

7 ペット葬をはじめるときの注意点について

まずは、上記に述べてきたようにペットのお墓や納骨堂の設置には現時点において法律上の規制はありませんが各自治体により条例による規制がある場合があることをおさえてください。そのお上で、自治体がペットに関する規制について条例を定めているが確認する必要があります。条例があるけど、ペットの許可は墓地納骨堂の許可をとっているところは不要とする自治体もあります。この場合は、条例に書いている文字だけで判断するのではなく、許可を得ている墓地納骨堂の管理規則に中にペットの納骨も認める規定を盛り込んでいるかを護持坊の規則を確認しておくとよいでしょう。また、条例の多くは事前許可性をとっているところが多いので、施設を設置してから許可をとるのではなく事前に許可を得てから施設の設置に取り掛かってください。また、収益事業として行う場合には寺院規則への明記が必要となりますので規則変更も行うことや、税務署への各届出なども忘れず行ってください。

 

8 まとめ

これまで見てきたように、ペット葬について現時点では法律による規制ではなく条例で規制がなされています。現時点では条例の定めはないけど、条例の整備を始めている自治体もあると聞いています。今後、ペット葬について規制する自治体は増えてくるでしょう。また、法律での整備も行われる可能性も十分にあります。法整備されても問題ないようにペット葬を始める際には各条例を参考にして設備や運営基準を定めておくことをおすすめします。

 

 

お寺の運営上必要な
手続きをサポート!

お気軽にお問い合わせください

電話でのお問い合わせ

078-779-1619

お問い合わせ