宗教法人も「法人」であることから履歴事項全部証明書が存在します。今はこのような名称ですが要は登記簿謄本のことです。この登記簿は、宗教法人設立の際に必要とされる項目が記載れています。いわゆる登記事項というものです。この登記事項に変更が生じたときは、変更登記が必要となります。
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設立に必要な登記事項
宗教法人として法的に認められ、その活動を開始するためには、主たる事務所の所在地を管轄する法務局にて設立の登記手続きが必須となります。登記簿には、法人の根幹となる重要な情報を記載し、一般に公示することが求められます。ここでは、設立登記に必要となる具体的な登記事項について、一つひとつご説明します。
目的
その宗教法人がどのような目的で活動しているかの記載です。収益事業を行うときは、この目的の箇所に収益事業を行う旨の記載が必要となります。そのため、収益事業を行いたいと考えている宗教法人は、登記の変更が必要となります。また、登記を変更するためには規則上の手続きを経て規則を変更する必要もあります。
名称
株式会社など他の法人格の場合は〇〇株式会社、合同会社〇〇、一般社団法人〇〇など法人の種類が必ず登記簿に記載されますが、宗教法人の場合は宗教法人〇〇寺とは記載されず、単に〇〇寺とか〇〇教会といった名称で登記されます。
事務所の所在地
事務所所在地も登記事項です。従たる事務所を別に構えた場合はその事務所も登記事項です。主たる事務所を移転したり、従たる事務所を新設・移転した場合はそれぞれ変更登記が必要となり、規則変更も必要となります。
被包括宗教法人か単立宗教法人かの違い
被包括宗教法人の場合は、どこの包括団体の被包括宗教法人なのか登記されます。従って、宗派離脱した場合はその旨の変更登記が必要です。
基本財産がある場合には、その総額
基本財産がある場合は登記が必要であり、変更するときは変更登記する必要があります。
代表兼を有する者の氏名、住所及び資格
お寺の代表役員はほとんどが住職ですが、代表役員は登記が必要です。逆にいうと責任役員は登記不要です。ここは取締役も登記事項とされている株式会社などと大きな違いです。
不動産又は財産目録に掲げる宝物に関する事項を定めた場合
宗教法人が保有する不動産又は財産目録に掲げる宝物に関する処分方法などについて規則で定めた場合はその登記が必要になります。
解散の事由
宗教法人を解散する場合にその方法について規則で定めた場合は、その事由について登記する必要があります。
公告の方法
宗教法人は、規則で公告の方法と期間を定めています。多くは、事務所に掲示する方法で7日間もしくは10日間の期間を定めているかと思います。この公告は、宗教法人が何か大きな手続きをするときに必要となりますので登記事項とされています。
登記を変更した場合の申請期限
上記の登記の内容を変更した場合は、変更が生じたときから2週間以内に、その主たる事務所の所在地において変更の登記を行う必要があります。2週間は短いので変更したときは早く準備しておくようにご注意してください。
まとめ
本記事では、宗教法人の設立および運営に不可欠な登記事項について解説しました。
登記事項は法人の基本情報から財産、解散事由に至るまで多岐にわたります。そして、これらの情報を変更するには、多くの場合、まず法人内部の規則を変更するといった手続きが前提となります。
つまり、登記事項の変更は、「内部の規則変更」と「法務局への登記申請」がセットになっているケースが少なくありません。変更後2週間以内というタイトな期限内にすべての手続きを間違いなく完了させるためには、計画的な準備が不可欠です。
手続きに不安がある場合や、複雑な変更を伴う場合は、速やかに行政書士などの専門家に相談することも有効な選択肢となるでしょう。