死後事務委任契約でのトラブルを防ぐ3つの対策とは

最近、死後事務委任契約という契約を希望する方が増えています。しかし、まだまだ知名度も低く、契約内容を理解できていない方が多いです。そこで、死後事務委任契約を締結するときに気を付けたいポイントについてお話しさせて頂きます。

1 死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、言葉のとおり、亡くなったあと(死後)の事務的な作業(事務)を第三者にお願い(委任)することです。簡単にいうと、死んだあとの諸々の処理を生前にお願いしておくことです。
事務的な作業とありますが、これは法的な作業以外のことをいいます。ここでいう法的な作業とは財産等を分けることです。財産の分け方は遺言書や遺産分割協議書で行います。
本人が亡くなると、財産を分けることで全てが終わるわけではなく、身の回りのことも整理する必要があります。
例えば、葬儀・納骨・永代供養の方法といった宗教的な行為、遺品整理、公共サービスの解約、携帯電話、SNSの解約といった生活に関連する行為、入院費の清算や建物の明け渡しや敷金の受け取りなど法的な行為など行う必要があります。
この死後の事務的な手続きは、従来は奥様や子供が行ってきました。しかし、高齢化・子供が近くにいない・おひとり様の増加など、年々、身の回りのことを身内で行うことが難しくなってきています。そこで、死後事務委任契約という形で、死後の手続きを第三者に依頼するケースが増えてきているのです。

2 死後事務委任契約に関するトラブル

(1)遺族とのトラブル

遺族とのトラブルで多いのが、お金に関わるところと思想信条が異なる場合です。

①お金に関するトラブル

死後事務委任契約は第三者が生前にご本人から委託を行います。第三者からするとボランティアで行うわけにはいきませんので当然報酬が発生します。遺族としては、この報酬が高ければ高いほど、自分たちの相続財産も減ることになります。
そうすると、報酬の金額をめぐりトラブルに発展する可能性がでてきます。また、葬儀を菩提寺に頼み、その葬儀費用や供養に関する費用もトラブルになりやすいです。なぜなら、インターネットで葬儀の相場を調べると格安の値段設定(15万円から50万円)がかかれており、葬儀費用200万円とか聞くと高く感じる人がいて、これも自分の相続分が目減りすると考え、「なんでそんなに高いんだ」とトラブルに発展する可能性があります。遺品整理業者への報酬なども同様にトラブルになることがあります。
他にも、死後事務を任せた人に報酬を前払いすると使いこまれるリスクもあります。
この場合は、信託銀行など活用して防止することも可能です。

②思想信条が異なる

先ほどの葬儀の箇所では、お金ではなく宗教上の考えの違いでトラブルになるケースもあります。例えば、親の信仰する宗教と子供が進行する宗教が違えば、親としては自分の信仰する宗教で祀って欲しいと考えますが、見送る子供側からすると自分が信仰する宗教の方式に沿って祀りたいと考えることがあります。
そうすると、葬儀を自分の菩提寺にお願いしていても、遺族が突如、親とは違う典礼方式に沿って葬儀をすると言い出せば、住職としては死亡している本人には確認のしようがなく困ったことになります。また、納骨などでも同じことがいえます。
このようなトラブルに関しては、予防策として死後事務委任契約を公正証書で作成しておくことおススメします。詳しくはのちほど説明します。

(2)関係機関とのトラブル

冒頭でも述べましたが、死後事務委任契約はまだまだ知名度の低い制度です。そのため、賃貸物件の解約手続きなどで、家主に死後事務委任契約書を提示しても「相続人でない」という理由で取り合ってくれない可能性があります。
本人から口頭で頼まれているといっても、家主からすると信頼できません。せめて、契約書が必要です。できるなら公正証書で作成しておくことが大事です。

(3)他の文書との矛盾からくるトラブル

終活の中で最も有名な文書といえば、おそらく遺言書でしょう。遺言書には相続財産の分配に関する取り決めを定めています。この遺言書と死後事務委任契約に矛盾があればトラブルの元になります。例えば、未払いの手術費・入院費などの精算です。未払い金は、債務にあたり相続財産に含まれます。しかし、遺言書の方で、債務の取扱いについて決めていなかったり、死後事務の費用負担と遺言書の債務負担に整合性がなければ、どう処理すればいいのか、どちらの文書が優先するのかなど考える必要があります。また、遺言には遺言執行者という遺言の内容を実現するための手続きをとる人を定めることができます。この遺言委執行者と死後事務の受任者が異なれば、両者の考え方の違いによりトラブルになる可能性もあります。
できれば、死後事務委任契約以外にも他の文書を作るときは整合性を考えておくことをお勧めします。

3 トラブルを防ぐ3つの対策

(1)死後事務委任契約は公正証書で作成しましょう。

公正証書は、公証役場というとこで公証人に作成してもらいます。公証人は、元裁判官や元検察官が就任されています。この公証人という公正な第三者のもので作成するので、本当に当人同士の意思で作成したものだとの推定が強く働きます。死後事務委任契約は、自分でも作成できますが、それだと本当に亡くなった親が自分の意志で作ったものなのか不明です。また、関係機関に契約書を掲示して自分が代理人がと主張するにも、公正証書だと相手方の反応が異なる場合が多いです。要するに、公正証書には一定の信憑性がありますので、死後事務をしっかりと実現していくためにも、死後事務委任契約は公正証書で作成しましょう。それが後々のトラブル防止にも役立ちます。

(2)遺言書とセットで作成しましょう。

前述しましたが、死後事務手続きは財産に関する手続きが含まれることがあります。その場合、遺言書との整合性は必ずチェックする必要があります。当事務所では、基本的に死後事務委任契約の作成のご依頼を受けるときは遺言書とセットで対応させて頂きます。遺言執行者と死後事務の受任者を一緒にするか、コミュニケーッションや連携がしっかりできる方々に就任してもらうようにしています。

(3)家族からの同意を得ましょう。

死後事務委任契約で一番トラブルになりやすい相手は遺族です。一度、トラブルになると解決するのに膨大な時間と場合によっては弁護士費用など多額の出費を伴います。死後事務委任は、ご本人様のご意向に沿って、死後の手続きを遺族のかわりに執り行うもので、本来、遺族と対立する関係にありません。
しかし、ちょっとしたボタンの掛け違いでトラブルになることは十分にあります。
そこで、可能であれば、事前に、ご家族の方に亡くなったあとの手続きについて、こういった内容でご依頼を受けた旨の説明と、ご承諾を頂いておくことがトラブルを未然に防ぐことになります。
また、依頼する本人からすれば、死後事務委任契約の存在をご家族に伝えておくことで、受任者がしっかりと手続きをしてくれるかを家族に確認してもらえることになるので依頼するときの不安がなくなります。

4 まとめ

死後事務委任契約はまだまだ耳慣れない言葉です。そのため理解できる人とそうでない人が出てきます。しかも、お金がからむ箇所もあるので、契約内容は公正証書として書面化しておくことが大事です。死後事務委任契約は、作り方によっては故人の遺志を反映できないものなってします可能性があります。どうせ作るなら、専門家と相談のうえ、しっかりしたものを作成してください。

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